炎症と炎症マーカー 臨床検査

2010年06月09日 01:27

炎症 とは、生体が何らかの有害な刺激を受けた時におこる生体防御反応のことで、局所を犠牲にして全身を守るという免疫学的なシステムです。炎症を誘発する因子には次のようなものがあります。
・病原微生物(細菌・ウイルスなど)
・物理的因子(外傷、熱、寒冷、放射線など)
・科学的因子(強アルカリ、強酸など)
・循環障害による壊死(悪性腫瘍、梗塞など)
・免疫反応による障害(アレルギーなど)

炎症のメカニズム
炎症の第1期:刺激を受けることにより、付近の血管が一時的に収縮。その後血管が拡張し血管透過性が向上。直後には血漿等、血液の液体成分が漿液として滲出(炎症性水腫)。
炎症の第2期:白血球が血管内皮に接着し、血管外へと滲出し、病巣へ移動(遊走)。初期に滲出するのは好中球であり、ついで単球、リンパ球で、これらが感染を防御。
炎症の第3期:急性炎症では刺激が無くなると回復。損傷した部位は肉芽の形成や血管の新生により回復。炎症が長期に渡ったり、慢性化したりすると好中球の核の左方移動(白血球分画で骨髄球・後骨髄球・好中球桿状核が増える)が起こる。

炎症マーカーとは炎症の有無や重傷度を反映し、炎症の診断や経過観察に役立つ臨床検査の総称です。
炎症の局所的兆候として発赤・熱発・疼痛・腫脹・機能不全があげられ形態学的には細胞の変性・壊死・血管反応・炎症細胞の浸潤などがあり急性炎症時に変動する主な検査項目は次の通りです。

・赤血球沈降速度(血沈)の亢進
・末血中の白血球数の増加、好中球の増加
・血清蛋白分画(アルブミン分画の減少、α1-グロブリン分画とα2-グロブリン分画の増加)
・急性期蛋白質成分(多くは増加するがアルブミンのように減少するも のもある)
・CRP(C反応性蛋白)
・Fib(フィブリノーゲン)


カテゴリ:検査項目 疾患 ア行

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