尿中に排出される糖の大部分はグルコースであり、まれにフルクトース、ガラクトース、ラクトース、ペントース、サッカロースなどがみられることもあります。
尿糖は糖質代謝異常によって血糖値が一定以上に高くなった場合(糖尿病など)、または血糖値の上昇がなくても腎臓の糖排出閾値が低下した場合(腎性糖尿)に起こり、原因によって区別されます。
基準値:20mg/dl以下(随時尿)40~85mg/day(1日量・蓄尿)
高値を示す病態
1)正常血糖性糖尿(腎性糖尿):腎尿細管におけるブドウ糖の再吸収機能が低下し、腎の糖排出閾値が下がるために起こリます。先天性にみられる病態として腎性糖尿・Fanconi症候群・Wilson病・ガラクトース血症など、後天性では慢性カドミウム中毒・イタイイタイ病などの多発性近位尿細管障害の一徴候として認められます。
2)正常血糖性糖尿(食餌性糖尿):一時に大量の糖分(200g以上)を摂取したあとにみられます。胃切除を受けた患者に多くみられ、ダンピング症候群を伴う場合が多い。
3)高血糖性糖尿(糖尿病):インスリンの分泌または作用が減弱し過血糖になり尿中にグルコースが排出されるもの。
4)高血糖性糖尿(内分泌性疾患):膵以外の内分泌臓器(甲状腺・下垂体・副腎など)の機能亢進で高血糖となり、尿糖陽性となるもの。
5)高血糖性糖尿(神経性糖尿):ストレス・精神的緊張などの際にみられることがあります。
6)高血糖性糖尿(その他):重症な肝疾患・ステロイド服用時・脳腫瘍・薬物中毒などの一部でもみられますが、いずれも一過性です。
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