前立腺特異抗原 PSA は、ヒト前立腺組織のみに存在し、前立腺から分泌され精液中に含まれています。分子量33~34kの単鎖状糖蛋白で、精液の粘度を調整して精子の運動を助けていると考えられています。 前立腺癌 のとき血清中の PSA が上昇するため、前立腺腫瘍マーカーとして用いられますが、炎症(前立腺炎)や、前立腺肥大症などでも上昇します。
血清PSAが10.0ng/mlを越える場合には前立腺癌を強く疑います。一般にPSA4.0~10.0ng/mlで前立腺癌の見つかる可能性は25~30%、10.0ng/ml以上で50~80%と言われています。
前立腺癌と前立腺肥大症の鑑別には、総PSAに対する遊離型(蛋白非結合型)PSAの割合(F/T比)を測定します。前立腺癌患者では、アンチキモトリプシン(ACT)と結合したPSA(PSA-ACT)が、肥大症患者の血中より増加しているため、F/T比の低下(0.15以下)とPSA-ACTの増加が前立腺癌診断の指標となります。 直腸内指診(DRE)、CT画像診断、組織生検なども行います。直腸内指診直後には一過性にPSA高値を示す場合があるため、検体採取は避けます。
基準値:4.0以下 (ng/ml)前立腺癌のカットオフ値10.0
・高値を示す病態:前立腺癌、前立腺肥大症、急性前立腺炎
・低値を示す病態:低値側の臨床的意義は少ないが、前立腺癌で摘出術後に再上昇がみられた場合は再発を疑う
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