LDH 乳酸脱水素酵素は、可溶性分画に属する酵素でほとんどの組織や臓器に広く分布します。LDH が含まれている臓器が損傷を受けると、その組織から LDH が逸脱し血清中濃度が上昇します。通常はスクリーニングとして総活性を測定し、高値をみた場合にLDHアイソザイムを測定し損傷臓器を推定します。
また同時にAST(GOT)を測定しLDH/AST比を調べます。LDH/AST比が高値(10~25)の場合は悪性腫瘍や溶血性疾患が疑われます。
LDH/AST比の上昇が中等度の場合は感染症か肝臓以外の実質性の臓器障害が考えられ、また悪性腫瘍が存在する可能性もあります。このため各種画像診断のほか、推定される臓器に関する腫瘍マーカーの検査を行ないます。LDH/AST比が低い場合は肝疾患が疑われます。
また LDH は、溶血により高値になるので、報告書コメントに溶血(+)とある場合は、GOTやCKを参照し、影響を考慮する必要があります。
基準値:100~230 IU/l
高値を示す病態:溶血性貧血、悪性貧血、心筋梗塞、白血病、悪性腫瘍、急性肝炎、感染症 など
低値を示す病態:LDHサブユニット欠損症、抗腫瘍剤や免疫抑制剤の投与 など
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