血中尿素窒素 BUN は、血液中に含まれる尿素量をあらわし、血清の除蛋白成分の中の窒素成分の総称である非蛋白窒素(NPN)の約50%を占めています。蛋白分解産物であるアンモニアが、そのままでは神経毒性を有するため、肝で 尿素サイクル の代謝をうけて尿素に変換されます。尿素のほとんどは腎臓より糸球体で濾過されて尿中に排泄されますが、その一部は再吸収され血中に戻されます。通常糸球体濾過値が半分以下に低下すると BUN はクレアチニンとともに上昇します。
腎機能障害以外で BUN が高値になる原因として
1)高蛋白食の摂取
2)火傷や悪性腫瘍などで組織が異化:筋肉100gが壊れれば約4gのBUNが生じるため
3)消化管出血:消化管内で血液から生じたアンモニアが血中に入り上述の尿素サイクルにより尿素となるため。
4)下痢や大量の嘔吐:急激な体液の喪失。
一方、妊娠中期から後期、利尿剤投与、低蛋白食摂取後などにBUNは低下します。
基準値:8.0~20.0 mg/dl
高値を示す病態:<腎前性>火傷、消化管出血、脱水 など
<腎性>腎不全、ネフローゼ症候群、尿毒症 など
<腎後性>尿路閉塞性疾患、尿路結石 など
低値を示す病態:肝機能低下(肝硬変、肝炎)、利尿剤使用時 など
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