AST GOT 肝機能の指標

2010年05月03日 10:07

AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ) は、GOT とも呼ばれ、肝・骨格筋・心筋・腎臓・赤血球など多くの臓器組織細胞中に含まれ、これらの障害で血中に逸脱します。AST は相対的には肝に最も多く含まれるため、主に肝疾患の診断に用いられますが、骨格筋や心筋疾患、溶血性疾患でも上昇します。AST は骨格筋からの逸脱があるため筋肉運動を行なうと高値になることがあります。また溶血により正の誤差を生じることがあるので報告コメントに溶血(+)とある場合の判断には注意が必要です。

AST にはCKのような臓器特異的なアイソザイムはみられませんが、細胞内局在を異にするm-AST(ミトコンドリア分画)、s-AST(細胞上清分画)の2つのアイソザイムが存在します。臓器細胞が障害を受けると通常まずs-ASTが逸脱しますが、細胞障害性が強くミトコンドリアにまで及ぶときはm-ASTが血中に出現するようになります。
基準値:8~40 IU/l
高値を示す病態:劇症肝炎、ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害、アルコール性肝炎、慢性肝炎(活動型、非活動型)、肝癌 肝硬変、胆汁うっ滞、閉塞性黄疸(一般に急性・慢性肝炎ではALTがASTを上回り、肝硬変や肝癌ではASTの方がALTよりも上昇するといわれている)
低値を示す病態:低値側の臨床的意義は少ない


カテゴリ:検査項目 疾患 ABCDE

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