アルカリフォスファターゼ ALP は生体の細胞膜に広く分布し、アルカリ側のpHでさまざまなリン酸化合物を分解する酵素です。肝臓内の胆管でも作られ、肝臓に含まれる ALP は胆管中に排出されるため、胆道のどこかが障害されて胆汁がうまく流れ出なくなる 胆汁うっ滞 があると、血液中に増えます。胆汁うっ滞もまた、肝機能の低下を招きます。ALPは骨や腸などにも存在するので、これらが障害された場合にも血中に出てきて、数値が高くなります。
糖蛋白であるALP分子には、糖鎖構造の違いから数種類の異なる臓器に由来するアイソザイムが存在します。ALPで異常値がみられた場合はアイソザイム検査を行い、由来臓器を検索します。
健常人でも血液型がB型、O型の人は、脂肪食摂取後の小腸性ALPにより高値となります。また小児・思春期では骨の新生が盛んなためALPが成人の2~3倍の高値を示すことがあります。
基準値:成人 114~358 小児 286~893 IU/l
高値を示す病態:肝疾患(肝硬変、肝細胞癌、慢性肝炎)、胆道系疾患、骨疾患(骨腫瘍など)、甲状腺機能亢進症、慢性腎不全 など
低値を示す病態:先天性hypophosphatasia
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