アルカリフォスファターゼ ALP には、糖鎖構造の違いから数種類の異なる臓器に由来する6種の アイソザイム が存在します。一般的にアガロースゲル電気泳動法によりDNAを分子量の大きさで分離します。DNA はマイナス電荷を持つので電解質(アガロースゲル)の中で電圧をかけると、プラスの電極側に移動します。アガロースゲルは、大きな網目構造(スポンジみたいな構造)をもつため、均一なふるい効果をもちます。
このため、短いDNAほどアガロースの孔を通過しやすいので移動が速く、長いDNA ほど移動が遅くなるので、移動距離に差ができます。この方法によりDNAを長さごとに分離できます。
各アイソザイムの由来臓器、臨床的意義は以下のとおりです。
ALP1型:肝(高分子)由来。胆道、肝疾患で胆汁排泄障害により上昇。黄疸の有無に注意する。
ALP2型:肝由来。正常成人ALPの主体をなすもの。肝・胆道疾患で上昇。
ALP3型:骨由来。小児~思春期のALPの主体をなすもの。骨新生やさまざまな骨疾患で上昇。
ALP4型:胎盤、悪性腫瘍由来。妊娠30週目位から上昇し分娩や胎児死亡で下降。悪性腫瘍で上昇することがある。
ALP5型:小腸由来。血液型B型、O型の患者に多く出現。高脂肪食摂取後に認められる。
ALP6型:免疫グロブリン結合型由来。免疫グロブリンのIgGなどと結合したもので主に潰瘍性大腸炎で認められる。
全ての型が一度に認められるわけではなく、1~4種類アイソザイムが病態に応じて出現します。健常人では成人はALP2型、小児はALP3型が主体です。
次:che コリンエステラーゼ CHE 肝蔵の機能障害
前:alp アルカリフォスファターゼ ALP